ひとり言 1
大きく美しい放物線を描いてスタンドに吸い込まれていくホームランはロマンである。打球がスタンドに吸い込まれるまでの観客、選手の表情は滑稽でもあり、悲劇でもあり、そして歓喜の瞬間でもある。人生そのものだ。
昨春の選抜大会決勝戦は初回から東邦高校石川投手(昨年、中日ドラフト1位指名)のド派手なスリーランホームランから始まった。その打球は右中間の1番深い所に弾丸ライナーとなって突き刺さっていった。そこにロマンを感じることはなく、あるのは恐怖そのものであった。スポーツにケガや故障はつきものかも知れない。しかし、それを予防・防止するために科学の発達があり、それを適所に活用するのが指導者の責務である。飛び過ぎるバットやボールを野球の進化と捉えるのか商業主義と捉えるのか。私は、もう一度あの美しい芸術的なホームランが見たいと思う。
By 佐藤 繁信