ホプキンス選手
私は1975年広島カープ、セ・リーグ制覇に貢献したゲイノム・ホプキンス選手を時折思い出すことがある。日本でのプレーは僅か3年にも拘わらず私の脳裏から離れることはなかった。それは第二の人生は「医師を志す」という引退理由にあった。野球漬けになりメジャーリーガーを目指したであろうはずの少年の最終目標が「医師」。そこにアメリカという国の懐の深さを感じたことを鮮明に覚えている。彼は現在、整形外科医・牧師として活躍している。
2019年日本中を熱狂の渦に巻き込んだラグビーワールドカップで大活躍した福岡堅樹選手は東京オリンピック7人制ラグビー出場後、医師の道を志すと表明している。
2020年、二年前の柔道世界選手権女子78Kg超級金メダリスト・朝比奈沙羅選手は獨協医科大学医学部医学科に合格した。医師への道を歩みだす。
2011年カージナルスでワールドシリーズを制したマーク・ハミルトン選手は35歳で医学部を卒業。今、Dr.ハミルトンとして新型コロナウイルスの感染拡大が深刻なニューヨーク州の病院の最前列で活躍しているという。
海外では欧米を中心に世界選手権やオリンピックなどで活躍した選手が弁護士や医師に転向する、いわゆる「文武両道」が散見される。
福岡選手や朝比奈選手が先鞭となり、日本スポーツ界が、欧米に追い付き追い越せとなることを願う。社会的背景や教育システムの違いだけで済まされる問題ではない。特定のスポーツにひたすら従順に打ち込むだけの日本の子ども達を世界レベルへ押し上げたい。
こんな時期だから、日本のスポーツ選手の第二の人生についてちょっと冷静に考えてみたい。
By佐藤 繁信