庄内ボーイズ・活動日誌

山形県庄内地域で活動する野球チーム『庄内ボーイズ』の活動内容です

子どもの故障予防に思う

    トミー・ジョン手術

 

 1982年、真っ白い糸を引くようなボールがキャッチャーミットに吸い込まれていった。中学三年生の少年が渾身の力を振り絞り投げ込む姿は清々しく思えた。しかし、それが彼の「ラストピッチ」と知ったのはしばらくたってからである。彼の右肘はすでに限界にあり、地元の医者からは「もう野球はできない」と告げられていた。

 翌年、彼は長野県の病院で関節遊離体(ネズミ)の除去手術を受け無事成功、社会人野球まで現役を続けることができた。

日本では野球選手が肘にメスを入れることはタブーとされていた時代である。

 1974年、アメリカではトミー・ジョン手術(内側側副靭帯再建手術)が行われていた。関節遊離体除去の為に野球を断念するように告げられた年から遡ること8年、アメリカでは腱の移植手術が行われていた。

 日本人は1983年に村田兆治投手(元ロッテ)がアメリカに渡り、故ジョーブ博士(初めてトミー・ジョン手術を行った整形外科医)の執刀により成功例として挙げられるが、これは二例目であった。

 今では日本人メジャーリーガー田中投手、ダルビッシュ投手、大谷投手などがこの手術を受けている。

 日進月歩の医療技術に感謝しつつ、子どもの肩・肘などの故障予防に最善を尽くしたい。

                          By 佐藤  繁信