成功とは一つではない
―世界で活躍する人たちへー
日本の野球少年は国内の高校に進学、甲子園を目指しその後は大学、社会人へと進むのが一般的である。しかしこういった今までのレールに乗らない野球人生を歩もうとする若者が増えている。そればかりか高野連に属さない、いわゆる甲子園を目指さない選択肢もあるという。
高校野球の二極化も進んでいる。強豪私学と公立の格差は広がるばかりである。公立高校の選手達は例え選手不足で連合チームになろうとも純粋に甲子園を目指し日々汗を流す。また強豪私学に入学した選手達の中には、全員がレギュラーを目指しているわけではない。たとえレギュラーになれなくともチームの一員として下積み覚悟で甲子園を夢見る選手もいる。
人の考え方は多岐にわたり、それぞれの人生の成功を思い描き進路選択をするのだろう。
今年の*NPBのドラフト候補の一人が、将来的な*MLBを見据え、米国の大学進学を目指しているという。野球というよりはベースボールを楽しもうとする選手たちの進路選択肢がここにきて大きく広がり、マスコミにも取り上げられるようになった。
高校時代をアメリカの*IMGアカデミーで過ごし、NPB入りした選手もいる。高校からMLBとマイナー契約した選手も身近にいた。NPB入りせずにメジャー挑戦した社会人選手もいる。こうした異色の経歴を持つ選手は調べれば枚挙にいとまがない。
先日、ドイツ、オーストラリア、フランス、スペインなど世界6か国(日本の独立リーグを含む)でプレーした人物と出会った。彼は大学卒業後、アメリカ独立リーグに参戦、その後世界を転戦した。メジャーリーガーへの夢は叶わなかったものの正に世界の野球事情を肌で感じてきたのである。
例えばメジャーリーガーになれなかった選手は選択の誤りで、大谷選手やダルビッシュ投手のようなメジャーリーグで活躍する選手だけが成功者なのか。
勿論そんなことがあろうはずがない。人生の成功の基準は人それぞれに千差万別であり、安直に他人が決めることではない。しかも大事なのは選手時代ではなく、その後の人生、生き方である。
人生に正解はなく、正しい道は幾つだってある。
世界に挑戦するベースボールプレーヤーに拍手を送りたい。
2022.9.20 By 佐藤 繁信
IMG:アカデミー:アメリカ合衆国フロリダ州ブレイデントンにある世界的に有名な寄宿学校・スポーツトレーニング施設である。