庄内ボーイズ・活動日誌

山形県庄内地域で活動する野球チーム『庄内ボーイズ』の活動内容です

子どもの故障予防に思う

    トミー・ジョン手術

 

 1982年、真っ白い糸を引くようなボールがキャッチャーミットに吸い込まれていった。中学三年生の少年が渾身の力を振り絞り投げ込む姿は清々しく思えた。しかし、それが彼の「ラストピッチ」と知ったのはしばらくたってからである。彼の右肘はすでに限界にあり、地元の医者からは「もう野球はできない」と告げられていた。

 翌年、彼は長野県の病院で関節遊離体(ネズミ)の除去手術を受け無事成功、社会人野球まで現役を続けることができた。

日本では野球選手が肘にメスを入れることはタブーとされていた時代である。

 1974年、アメリカではトミー・ジョン手術(内側側副靭帯再建手術)が行われていた。関節遊離体除去の為に野球を断念するように告げられた年から遡ること8年、アメリカでは腱の移植手術が行われていた。

 日本人は1983年に村田兆治投手(元ロッテ)がアメリカに渡り、故ジョーブ博士(初めてトミー・ジョン手術を行った整形外科医)の執刀により成功例として挙げられるが、これは二例目であった。

 今では日本人メジャーリーガー田中投手、ダルビッシュ投手、大谷投手などがこの手術を受けている。

 日進月歩の医療技術に感謝しつつ、子どもの肩・肘などの故障予防に最善を尽くしたい。

                          By 佐藤  繁信

 

 

バッティング動作について

 


  T・H 君  (中学1年 5月)    2020.5.22

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【構え】

・写真1から、リラックスした大きな 

構えで懐があり、相手投手には威圧

感がある。

・脚の位置もT字になっている。後ろ

脚も閉じられている

・写真2の左肘が高い位置にあり、肘 

をそのまま落としてくればボール 

に最短距離となるので理想的

・若干O脚気味に見える。野球は内線(内筋)が重要(タメ・変化球への対 

応)である。膝入れやレジスタンス

レーニングで矯正したい。

・走り方はどうか、課題である。

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 f:id:SyonaiBoys:20200522203118j:plain  ④             

【テイクバック】

 ・腰の位置も平行である

 ・バットのヘッドが入り過ぎていない 

か!?は議論すべきところである。

写真4の状態から体に巻きつくよう

なスイングであれば問題ないか。あま

りに入り過ぎヘッドが遅れるか?

速い投手に対応できるか課題である。

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【ステップ】

・写真5腰も安定しているし、ボールを捉えようとする表情もいい

・写真6腰は平行移動しているのでいい

・写真6のステップ幅に問題はないか。大きすぎないかという問題である。目の高さがずれないか心配である。慣性モーメントを小さくしたい。

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インパクト】

・動画を見て、一つ一つのスイングがインロー・インハイ・真ん

中・アウトロー・アウトハイと分けてスイングしていることに感動した。素晴らしい!

・こうした姿勢を今後も大事にして欲しい。

・最初、正面からの動画だけを見たときは、体が後ろから前に大きく流れているように感じた。しかし、横から見るときちんとスイングができている。

・それぞれの写真から左肘の外捻、右ひじの内捻もできている。硬式野球向きのスイングである。

・上半身は前(打ち)に、下半身は後ろ(右足の内捻)に働きます。上半身と下半身が同一方向に動いてはいけません

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【フォロースルー】

・大きくていい。ホームランを打って欲しい

 下半身の不安定さは残るがそんなことは問題ではない。バットを大きく振ることができることは素晴らしい長所である。伸ばしていきたい。

・少し前傾気味であるが気にするな!振れ!!

 

【課 題】

いいねぇ〜。このままで十分です。

・迷った時は必ず質問をして下さい。

・「はい」「はい」と返事だけしないでください。理解できなかったら質問するように。

・野球が「好きだから」「楽しいから」一緒に頑張りましょう

                              野球子屋 佐藤 繁信

選手の皆さんに手紙を送りました。

 


 

グランドが見えてきたぞ!

         野球ができるぞ!!

                              2020.5.14 野球子屋

 

さぁ、いつでもグランドに出て「試合」のできる準備をして下さい。それには計画的に規則正しい生活を送ることです。克己して勉強・スポーツに励みましょう!

*克己(こっき):自分の感情・欲望・邪念(じゃねん)などに打ち勝つこと

 

 DVD2枚を同封しました。どちらも年代的には興味が薄れるかもしれませんが、参考までに送らせていただきます。

国際大会の雰囲気や同年代のプレー(13歳のプレー)を参考にしてください。ルールの違いなどもありますが、単純にプレーを楽しんでください。また高校野球日韓野球の緊張感を伝えたかったのですが、5回までしかなく申し訳ありません。なお、日本の宮内和也君(習志野)は、2年生が昨年NTT東日本の野球教室に参加した時につけたワッペン?(甲子園でホームスチールした瞬間)の選手です。

【参考1】

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フォーシーム・ファストボール(Four-seam fastball)とは元々メジャーリーグで使われていた言葉で、1回転中に4回縫い目が現れるバックスピンのボールです。 つまり日本で言うところのストレート、直球になります。 ストレートと同種なので、もっとも球速が出る球種であり、ほぼ変化することなくキャッチャーミットに収まります。 ファストボール(速球)として、きれいな回転と軌道のフォーシーム・ファストボールと、空気抵抗のバランスを崩した回転と変化する軌道のツーシーム・ファストボールやワンシーム・ファストボールなどで区別されます。 日本ではストレート(フォーシーム・ファストボール)とそれ以外の変化球という分け方がされますが、メジャーリーグではフォーシーム・ファストボールはファストボールという分類の中の1種となります。 そのためか日本ほどピッチングの絶対的主軸という意識が高くなく、フォーシーム・ファストボールをまったく投げない投手も少なくないです。 代わりに軸として使われる球種にはツーシーム・ファストボールやシンキング・ファストボール、カット・ファストボールなどがあります。 日本ではストレートを投げない投手はまずいません。 ちなみにメジャーリーグでは、速さを軸にしたファストボールに対し、変化を軸にした球種はブレイキングボール、タイミングを外すための遅さを軸にした球種はチェンジアップと呼ばれます。

                   (写真:日刊スポーツ  文:ネットより)

 

【参考2】

マット運動はスポーツ選手共通の基本中の基本です。西武・山川選手のような大きな体をしてい

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ても、軽々と逆立ちします。

以前、筒香嘉人選手(タンパベイ・レイズ)の逆立ちも紹介したように思います。彼も同じように上手です。

 まだできない選手はいませんね!?特に二年生!!

 今、練習するにはもってこいの時期ですね。さぁ、逆立ち、後転倒立の練習だ!腰の張りを作り、より強いボールを投げましょう。より遠くにボールをかっ飛ばしましょう!!

【参考3】

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部井久アダム勇樹(ベイグ・アダム・ユウキ:ハンドボール選手195Cm-94Kg 中央大学在籍、フランス4部・ナツィオナーレ2のセッソン・レンヌ・メトロポールHB所属。)

 ハンドボール競技のボールは直径19Cm(硬球は約7.2Cm)、重さ425~475g(硬球は約145g)です。アダム勇樹選手はその重いボールを空中姿勢(写真参考)から127Kmの豪速球を投げることができます。

 野球選手が大いに参考にしなければいけない投げ方です。脚は地面についていませんから、強いボールを投げるには「上半身と下半身」をうまく使わなければいけません。つまり「捻り」(ひねり)です。上半身と下半身が全く反対の動き(ケンカ状態)をすることです。この動きを作るには柔軟な肩甲骨と柔軟な股関節が必要になります。

 彼の肩甲骨は非常に柔軟性があります。また性格は謙虚でアスリートとしてあくなき向上心を持っているようです。

【参考4】

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Q:直衝突(中心衝突)さえ起こせば、打球は飛ぶ。しかし、より高い直衝突を起こす方法があるのだという。

A:大学野球選手と社会人野球選手とを比べたときに、スイングスピードはほぼ同じでも、打球スピードは社会人の選手の方が大きいというデータが得られた。スイングに対しての打球の角度、インパクト角を計測した。角度がつけばつくほど直衝突(中心衝突)していないということなのですが、社会人選手はインパクト角が小さく、0度に近い選手が多いことがわかりました(図<1>)。

Q:実験での社会人野球の選手は、どんなスイングをしていたのだろうか。

A:インパクトの瞬間の約10センチで打球の方向に対して真っすぐに入る振り方をして「直衝突」(中心衝突)が起こっていたのです。

Q:よくプロ野球選手が「線で捉える」というのはこのこと。実際にどのような練習を行うといいのだろう。

A:子どもなら、テーブルの上をバットでなぞる練習がいいでしょう(図<2>)。学校の教室にある机が身長にあっていてベストでしょう。バットに当たらないとか、当たっても飛ばないという子に対しては、こういうドリルをすると振れるようになります。実際には水平に振ろうとしても、バットの重さで振る際に落ちてしまうが、ボールも同じように落ちてくるため、対応できる。(日刊スポ)

 

ひとり言 「スポーツと人生とは」

                  ホプキンス選手

 私は1975年広島カープセ・リーグ制覇に貢献したゲイノム・ホプキンス選手を時折思い出すことがある。日本でのプレーは僅か3年にも拘わらず私の脳裏から離れることはなかった。それは第二の人生は「医師を志す」という引退理由にあった。野球漬けになりメジャーリーガーを目指したであろうはずの少年の最終目標が「医師」。そこにアメリカという国の懐の深さを感じたことを鮮明に覚えている。彼は現在、整形外科医・牧師として活躍している。

 

 2019年日本中を熱狂の渦に巻き込んだラグビーワールドカップで大活躍した福岡堅樹選手は東京オリンピック7人制ラグビー出場後、医師の道を志すと表明している。

 2020年、二年前の柔道世界選手権女子78Kg超級金メダリスト・朝比奈沙羅選手は獨協医科大学医学部医学科に合格した。医師への道を歩みだす。

2011年カージナルスワールドシリーズを制したマーク・ハミルトン選手は35歳で医学部を卒業。今、Dr.ハミルトンとして新型コロナウイルスの感染拡大が深刻なニューヨーク州の病院の最前列で活躍しているという。

 

 海外では欧米を中心に世界選手権やオリンピックなどで活躍した選手が弁護士や医師に転向する、いわゆる「文武両道」が散見される。

 福岡選手や朝比奈選手が先鞭となり、日本スポーツ界が、欧米に追い付き追い越せとなることを願う。社会的背景や教育システムの違いだけで済まされる問題ではない。特定のスポーツにひたすら従順に打ち込むだけの日本の子ども達を世界レベルへ押し上げたい。

 こんな時期だから、日本のスポーツ選手の第二の人生についてちょっと冷静に考えてみたい。

                                By佐藤 繁信 

選手のみんなに手紙をおくりました。

 


日本とアメリカの考え方の違いについて学ぼう

岩隈投手(現巨人)は、日米野球界の考え方の違いについて次のように話しています。

【選手同士がリスペスト】

アメリカは選手同士がみんなリスペクト(尊敬)しているから、誰かがエラーをしてもその選手のせいにはしない。監督のコメントでも選手のことを悪く言うことはまずない。日本はすぐに責任問題にしてしまうところがある。

チームが連敗している時にミーティングをするけど、日本では中心選手、リーダー格の選手が話して終わることが多い。アメリカはルーキーだろうが、試合に全然出ていない選手だろうが関係なく、自分が思ったことを発言する。たぶん日本だったら『何でお前が発言してるの』となる。

全員がリスペクトし合っているから、メジャーという舞台は力が発揮しやすい場所なのかもしれない」と話した。

負けたときに「自分の責任」と言ってはいけない米国・・・「ごめんなさい」と言ったら怒られる          

 

     「自分のやったこと、その結果に誇りを持ちなさい」

*指導者が選手の取り組みをリスペクトしているから成り立つ考え方と言える                 

 

ミスを変えることはできない!

ミスを変えることは誰にもできない。ミスをしたという事実を変えることは不可能である。ならば「今、しなければいけないこと」に頭を切り替えることである。        

失敗した → いい経験をした

一緒に考えよう!

人間の心の状態にはフローとノンフローがある

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【ご機嫌=フロー状態】

気分良く、楽しく、充実感を得られている状態。

夢中になって目の前のことに集中、かつリラックスし、自分の力を発揮できている状態

【不機嫌=ノンフロー】

落ち込んだり、いらいらしたり、心が乱れている状態。

心がゆらぎ、とらわれ、自分らしい力を発揮できていない状態

  【心の状態】 心の状態(を指す針)は声かけや出来事などによってフロー状態かノンフロー状態かに振られる      メンタルトレーニングが教える

           「子どもが伸びる声かけ」辻 秀一(池田書店)より

スポーツマンシップについて

日本・・・どんなに弱い相手に対しても、手を抜かず全力でぶつかるのがスポーツ 

  マンシップ(相手が弱いからといって手を抜いたら、何と傲慢なチームかと批判される

アメリカ・・・大差のついた試合では「これ以上点を取らないように全力でプレーす

  る」のがスポーツマンシップ(例えば、これ以上点を取らないように全力でバント作戦を続ける。盗塁はしないなど)    

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[2020年4月27日10時0分 ]   日刊スポーツ

宮本慎也氏が明かすバントの極意 構え、握り、方向

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小島:まずはどうやったら上達するか教えて下さい。

宮本:技術的には、まずホームベースにできるだけ顔を近づけて、視線の中にボールとバットのヘッドが入るように構えます。

小島:両足は? 開いて構えるオープン、後ろ足を引いて構えるクローズ、両足を平行にして構えるスクエア、いろいろありますが?

宮本:基本はクローズがいいでしょう。体にぶつかりそうな球が来ても、背中なら大ケガはしない。それに、外に逃げる変化球も追っかけて当てにいきやすい。スクエアはあまりないですね。両足がそろうと、顔をベースに近づけにくくなるでしょ? オープンは左打者ならバントした後に一塁に走りやすいというメリットがある。顔をホームベースに近づけて構えるのは、結構怖いものだから、クローズとオープンは自分でやりやすいと思った方でいいんじゃないかな。

小島:なるほど。バットの持ち方は?

宮本:後ろの手はボールが当たる部分に指がかからないように、芯の部分から20センチぐらい下で、スマホを持つような感じだといいですね。グリップに近い方の手は、グッと力を入れて持っちゃダメ。バットのやや先に当てた時、その反動があってもボールを殺せるように、柔らかく持つ。両手の間隔は近い方がやりやすいけど、あんまり近いとバスターに切り替えられない。守備側に送りバントだって分かってしまう。守っている時は、そこを見ていた。だからグリップエンド近くを持って、投げる前に上にずらすのがベスト。そこら辺のさじ加減は、自分の技術と状況によって使い分ければいいと思います。コツは手で合わせにいかないこと。両膝を使って、視界の中にあるバットのヘッドと向かって来るボールに関連性を持たせるように、膝で高さやコースを合わせること。

<深掘り。>

#開幕を待つファンへ 日刊スポーツ評論家の宮本慎也氏(49)が「送りバント」を深掘りします。構え方、バットの持ち方から、打席での心構えまで…ベテラン遊軍・小島信行記者に極意を明かしました。

   ◇   ◇

宮本 あれっ、今回は僕1人なんですか?

小島記者 そうです。今回は「送りバント」について“深掘り”をお願いします。語れるのは宮本さんしかいないでしょう!

宮本 でも、恥ずかしいんだよなぁ。

小島 何を言ってるんですか。2000安打を達成した選手で400犠打以上を記録しているのは1人だけですよ。誇らしい記録じゃないですか。

宮本 誇らしい記録じゃないって。2000安打を打つ強打者は、みんな送りバントをしないだけ。2000本打った中で、最も打てないと思われていた打者だった、っていう記録じゃない?(笑い)

小島 確かに…。そう言われるとそうですね(笑い)。

宮本 そこは否定したり、フォローするとこじゃないですか(苦笑い)。

小島 でも、よいしょじゃなく、2000本以上を打つ実力がありながら、自己犠牲が必要なチームプレーもしていた、とも言えるんじゃないですか? 実際400犠打しないで打っていたら、あと120本ぐらいヒットを打てていたでしょう。120は言い過ぎでも、100本ぐらいは増えていたと思いますよ。

宮本 うまいこと言いますね。でも正直、野球という競技に送りバントがなかったら、レギュラーになれていなかったし、2000本なんて打てなかったと思う。大した素質じゃない選手が、プロの世界でちょっとでも長く生きるために頑張ったっていう記録でしょ。輝かしい記録じゃないんですよ。それにバントは小学生ぐらいの時はやらなくていいんですよ。そのくらいの時は、バントのサインを出されないような強打者を目指してほしい。

小島 宮本さんの主催している少年野球の大会では、バント禁止にしてますよね。あと、ベテランになって送りバントのサインを出された試合では、ひそかにムッとしていましたよね(笑い)。分かりました。記録の話じゃなくて、技術の話をお願いします!

宮本 その方がスッキリしゃべれますね(笑い)。何から話しましょうか?

小島 まずはどうやったら上達するか教えて下さい。

宮本 技術的には、まずホームベースにできるだけ顔を近づけて、視線の中にボールとバットのヘッドが入るように構えます。

小島 両足は? 開いて構えるオープン、後ろ足を引いて構えるクローズ、両足を平行にして構えるスクエア、いろいろありますが?

宮本 基本はクローズがいいでしょう。体にぶつかりそうな球が来ても、背中なら大ケガはしない。それに、外に逃げる変化球も追っかけて当てにいきやすい。スクエアはあまりないですね。両足がそろうと、顔をベースに近づけにくくなるでしょ? オープンは左打者ならバントした後に一塁に走りやすいというメリットがある。顔をホームベースに近づけて構えるのは、結構怖いものだから、クローズとオープンは自分でやりやすいと思った方でいいんじゃないかな。

小島 なるほど。バットの持ち方は?

宮本 後ろの手はボールが当たる部分に指がかからないように、芯の部分から20センチぐらい下で、スマホを持つような感じだといいですね。グリップに近い方の手は、グッと力を入れて持っちゃダメ。バットのやや先に当てた時、その反動があってもボールを殺せるように、柔らかく持つ。両手の間隔は近い方がやりやすいけど、あんまり近いとバスターに切り替えられない。守備側に送りバントだって分かってしまう。守っている時は、そこを見ていた。だからグリップエンド近くを持って、投げる前に上にずらすのがベスト。そこら辺のさじ加減は、自分の技術と状況によって使い分ければいいと思います。コツは手で合わせにいかないこと。両膝を使って、視界の中にあるバットのヘッドと向かって来るボールに関連性を持たせるように、膝で高さやコースを合わせること。

小島:一塁側と三塁側、どちらの方向がいいんですか?

宮本:それは状況によっても違うし、相手の一塁手三塁手、投手のフィールディングの技術力によっても違う。

小島:そうですね。でも狙う方向を変えるのは、どうやってやるのがいいんですか?

宮本:よくグリップに近い方の手で操作するといいって言うけど、僕はヘッドの下を持っている手で、バットの面を転がしたい方向に向けるようにやっていた。どちらがいいかは、練習してやりやすい方でいい。でも、投手前にしっかりと打球を殺せれば、それが最強。三塁への送りバントは、セオリー的には三塁手に捕らせるように、と言われるけど、しっかり打球を殺せればどちらでも大丈夫。

小島:ちょうどよく打球を殺すのは、難しいですよね。

宮本:バットのやや先に当てて打球を殺すんですが、その時にバットを引くようにして殺そうとするとミスが多くなる。バットのやや先にしっかり当てて、グリップエンドに近い方の手を柔らかく使えれば勝手に打球は死にます。打球を殺す目安は、投手が前に突っ込んで捕る時、打球の勢いを利用して下がるように投げられたらダメ。前に出ながら捕球させるか、止まったまま捕球させればいい。打球が死ねば、そういう捕球しかできないはずです。

小島:話だけを聞いていると、簡単そうですね。

宮本:簡単ですよ。でも簡単だから失敗すると怒られる。みんな決めて当たり前みたいに思ってるでしょ? だから失敗できないと思って硬くなっちゃう。ここが一番難しいんですよ。

小島:メンタルの部分ですね。どう考えていたんですか?

宮本:自分だったら、監督やコーチ、周りの選手やファンが「宮本が失敗したんだから仕方ない」と思ってくれるように努力することだと思う。ずうずうしいけど、周りがそう思ってくれていると自分で勝手に思ってやれば、それほど硬くならずに済む。まぁ、しびれる場面では、どう思っても硬くなるものですが。

小島:そう思ってもらうって大変ですよね。宮本さんみたいに実績を残していた選手ならいいですけど、若い選手が「ミスしても仕方ない」って思われるレベルにはなかなかならない。

宮本:そうかもしれません。でも大事なのは「過程」です。毎日、しっかりバント練習をしているとかあれば、失敗しても怒りませんよ。毎日、練習している選手が失敗するのは、そういう選手に技術を教えてなかったコーチのせい。しっかりした技術力があるのに失敗したなら、プレッシャーを和らげてやれなかったベンチのせい。

小島:ヤクルトのヘッドコーチ時代は“鬼コーチ”みたいに言われていたのに、本当に怒らなかったんですか?

宮本:そういうのがしっかり出来ている選手には怒らないですよ。テレビでバントを失敗したり、守備でエラーしたりすると、よく僕を映していたでしょ。あれって嫌ですよね(笑い)。やることをやっている選手や、仕方ないと思うようなミスで怒ってなくても、ミスしてヘラヘラするわけにはいかないじゃないですか? 表情を変えないようにしていると、怒っているように見えちゃうし…。

◆犠打メモ 通算犠打は川相(中日)の533犠打が最多で、400犠打以上は川相、平野(ロッテ)451犠打、宮本(ヤクルト)408犠打の3人いる。通算300犠打の新井が2038安打したが、「2000安打+400犠打」は宮本しかいない。シーズン最多は01年宮本の67犠打。シーズン60犠打以上は5人、6度あり、今宮(ソフトバンク)だけが13、14年と2度記録。今宮は17年に52犠打をマークしており、50犠打以上を3度も川相、平野に並ぶタイ記録。送りバントを1度も失敗しなかったのが巨人時代の95年川相と09年森本(日本ハム)。43犠打の森本は送りバントが安打になった2度を含め45度、川相は47度試みてすべて成功。シーズン40犠打以上で成功率100%はこの2人だけだ。

選手のみんなに、はがき3を送付しました。

はがき3を送りました。勝利者になろう。

 

周東「神足」5つの極意:考える足

                 -イメージトレーニング編 ―

 

①投手を含めた全体を視野に

 よく足だといわれるが、足だけを意識し過ぎて体が固まってしまうのはダメ

②塁間27.4mを一直線に

 一塁ベースと二塁ベースの外側を結んだ線 上を一直線に走るイメージ

③3歩めでトップスピード

 スタートして左足、右脚と踏み込んで三歩 目の左足を踏み込むときにトップスピード になるように。スタートは脱力から瞬間的 にトップギア

④打者は見ず、遊撃手で判断

 目線は変えない。遊撃手で判断。見送った のか、打ったのか、どこに打ったのか

⑤スライディングは必ず足

 ベースには頭からは行かない。絶対にスピ ードが落ちる。二盗ならベース右端に、左 右どちらか合う方の足を突き刺すイメージ

 

                     (2019.12.19日刊スポーツより)

 

規則正しい生活をした者が

コロナとの戦いの勝利者です!