奪え、ポジション! ―数値化―
選手は一生懸命に練習に取り組んでいる。みんなを試合に出してやりたい。だが公式戦を控えポジションを決めなくてはいけない。そんな中、どうしても決めきれないポジションがある。
さてどうしよう?
みんなが納得する方法はないものか。そんな時一つの方法論として浮かんだのが数値化である。
最初に「このポジションをやってみたい人」と挙手をとった。5人が立候補してくれた。
コーチの打つノッカーの打球音から野手のグラブに納まる音までの時間をストップウォッチで測定することにした。ノッカーの打球速度や方向による誤差は回数の平均で補うことにする。送球の正確性は複数の指導者が4段階(エラーをゼロとする)で評価した。
「さぁ、いくぞ!」
ノックの順番は決めていない。最初にノックを受けた選手に心意気として10点をやりたいところだ。
一日目は
①正面のゴロ捕球から一塁送球
②ダブルプレーは捕球からセカンドまでの送球
③前進バックホームは捕球から捕手への送球。それぞれのタイムを複数回測定した。
二日目は
①正面のゴロ捕球から一塁送球
②ダブルプレーは昨日とは逆に2塁ベース上で送球を受け、一塁送球
③バックホームはランナー1・3塁をカットプレーで本塁送球とし、それぞれのタイムを
複数回測定した
【課題と考察】(羅列)
①明らかなイレギュラーは再度ノックした
②エラーの扱いは課題である。全体にエラーを恐れるあまり慎重なグラブさばきが見ら
れた(正面のゴロ送球は4秒3以内の基準はもうけたが)
③思い切って勝負をかけたプレーの評価をどうするか
④緊張感があり、選手にとってはいい経験となった
⑤それぞれのプレーの選手の得手不得手を再確認できた
⑥挑戦したすべての選手を評価したい
⑦3年で挑戦した選手を特に評価したい(ノックも一番で受けていた)
⑧日頃の練習より打球の処理が素直だったり、動作の柔らかさが見られたり、新鮮であ
った
⑨最終的にはバッティングを加味し、総合評価とする
⑩数値―平均化は選手を評価する一助になる
⑪全体への説明でも納得する様子が伺えた
なんでも数値化することを嫌う人もいる。実は私もその一人かも知れない。そう思いながらも「数値は嘘をつかない」事も自覚しなければいけない。
これからも数値とうまく付き合っていきたいと思う。人間らしく。
2021.4.30 By佐藤 繁信