庄内ボーイズ・活動日誌

山形県庄内地域で活動する野球チーム『庄内ボーイズ』の活動内容です

愚かさを知る  ―ダニング・クルーガー効果―

 

         愚かさを知る

              ―ダニング・クルーガー効果―

 ある酒屋に並んでいた大吟醸”ひとりよがり”に目を奪われた。目が奪われたというよりも心が奪われたのかもしれない。正にその時の私自身の生き方を現している言葉のように思われ、ハッと我に返った瞬間であった。

 あれから30年ほど経ったろうか。「ダニング・クルーガー効果」の図を目にし、「ひとりよがり」以来の強い衝撃を受けた。

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 ダニング=クルーガー効果とは、能力の低い人物が自らの容姿や発言・行動などについて、実際よりも高い評価を行ってしまう優越の錯覚を生み出す認知バイアス(精神の傾向。偏見。偏向)。この現象は、人間が自分自身の不適格性を認識することができないことによって生じる。「優越の錯覚を生み出す認知バイアスは、能力の高い人物の場合は外部(=他人)に対する過小評価に起因している。一方で、能力の低い人物の場合は内部(=自身)に対する過大評価に起因している。」と述べている。

                         ―ウィキペディアよりー

 

「素人ほど大口をたたき、専門家ほど慎重な発言になる」ということである。

野球ファンは総評論家であり、それがまた野球の楽しみ方でもある。野球場やTVの前で薄っぺらい知識や持論をぶち上げながらの野球観戦は最高のストレス解消である。時に静かに話す専門家以上の勢いでまくしたてられるとそれが奥深い真実のようにも思えてしまう。

 日本のプロ野球を代表するバッター谷沢健一氏(元中日)と掛布雅之氏(元阪神)の対談の進行をした時である。二人の打撃論は止まる所を知らない。ある時は椅子から立ちあがり身振り手振りと白熱したものだった。聞いている私はその打撃論にただただ感心して聞き入るだけであった。球界を代表する二人のスラッガーの対談は正に「専門家」の域に達した議論である。命を懸けてバットを振り続けた人間にしか到達できない打撃の奥義がそこにはあった。

 

「上から叩け」「ゴロ転がせ」そこに理論は存在しない。いや少年野球に理論は無用とばかり連呼する。

 しかし、野球を指導する上で正しい知識・理論はやはり必要だろう。「胸に投げろ」が野球の基本だろうか?案外わからないことが多い。

 

 「自分は知識があり、他人より優れているという錯覚」をしてはいないか?根拠のない自信はどこからくるのだろう。そっと胸に手を当ててみることにしよう。指導者はダニング・クルーガー効果に陥らないためにどうすればいいのか。

 指導者の学びへの謙虚さと選手へのリスペクトを忘れてはいけない。

 

                          2021.5.5  By佐藤 繫信